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2010 年度 実績報告書

アジアにおける稀少生態資源の撹乱動態と伝統技術保全へのエコポリティクス

研究課題

研究課題/領域番号 19251004
研究機関京都大学

研究代表者

山田 勇  京都大学, 東南アジア研究所, 名誉教授 (80093334)

キーワード生態資源 / エコポリティク / グローバル・コモンズ / CITES / 生態史 / 越境移動 / マングローブ / 乳文化
研究概要

山田は,韓国で沈香と朝鮮人参について、中国四川省・雲南にて森林資源、アメリカ・ポナペ島にてマングローブ林について調査し、希少資源の保存、利用、その保全について体系的に調査した。赤嶺は、モロッコで開催された第62回国際捕鯨委員会(IWC62)に参加し、捕鯨をめぐるエコポリティクスの参与観察をおこなった。IWC62では、不毛な対立をくりかえしてきている。反捕鯨をめぐる言説は、いまや科学論ではなく、動物権や動物福祉に根ざしたものが中心となっている現状であり、こうした現状の打開策は容易ではないことが伺われた。しかし、だからこそ、異文化理解と文化多様性を背景にもつ地域研究が貢献しうる余地があるはずであることが把握された。阿部は、「食のコミュニティ」が一堂に会する国際ミーティングであるスローフード協会主催のテラ・マッドーラに参加し、1)食の安全安心、2)食材(資源)の多様性の保全、3)そのための伝統的生産技術の保全について議論した。食材という生態資源を保全するには、生産者と消費者の関係性を強化すること、スローフード運動の「消費者ではなく共生者である」という考え方が極めて重要であることが再認識された。具体的な成果としては、『関係価値』という概念を提示したことである。平田は、乳加工技術という文化の伝播論を検討するために、本来は乳文化圏には位置しない新大陸のペルーにおいて現地調査をおこなった。その結果、レンネットによるチーズ加工の技術のみが受け入れられ、それ以外は伝播していなかった。「ジャガイモ・トウモロコシ中心食」「傾斜地での労働軽減性」「年中温和・半乾燥性」が乳加工技術を伝播・変遷させたコアファクターとして考えられた。鈴木は、フランスのエクサンプロヴァンスの国立公文書館及びパリの国立図書館において仏領インドシナの森林地域における紛争と資源劣化に関する史料調査を行い、仏領期の警察史料から森林地域における反植民地運動の組織化に関する情報を新たに入手した。市川はサラワクの森林利用を、長津はインドネシアのサマ漁猟民の調査を継続した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2010 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 生物多様性という関係価値-利用と保全と地域社会2010

    • 著者名/発表者名
      阿部健一
    • 雑誌名

      科学

      巻: 80 ページ: 1032-1036

  • [雑誌論文] マレーシア・サラワク州の焼畑栽培にみられる除草剤利用とその背景2010

    • 著者名/発表者名
      市川昌広
    • 雑誌名

      農耕の技術と文化

      巻: 27 ページ: 21-41

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 北アジアにおける乳加工体系の地域多様性分析と発達史論2010

    • 著者名/発表者名
      平田昌弘
    • 雑誌名

      文化人類学

      巻: 75(3) ページ: 395-416

    • 査読あり
  • [学会発表] Short history of vegetation change in Indonesia. Starting from Mt.Pangrango, Sumatra lowland, Kalimantan to Papua based on the eco-resources survey in 40 years2010

    • 著者名/発表者名
      YAMADA Isamu
    • 学会等名
      International workshop "Plant Ecology and Diversity Observation Network and Capasity Building in Indonesia"
    • 発表場所
      Bali, Indonesia
    • 年月日
      20100701-20100719
  • [図書] ナマコを歩く-現場から考える生物多様性と文化多様性2010

    • 著者名/発表者名
      赤嶺淳
    • 総ページ数
      392
    • 出版者
      新泉社
  • [備考]

    • URL

      http://www.balat.jp/

  • [備考]

    • URL

      http://www.milkculture.com/index.php

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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