研究課題/領域番号 |
19251005
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
ABINALES P N 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (60314267)
|
研究分担者 |
岡本 正明 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (90372549)
本名 純 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (10330010)
鬼丸 武士 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (80402824)
相沢 伸広 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 研究員 (10432080)
細田 尚美 京都大学, 東南アジア研究所・研究員, 研究員 (70452290)
|
キーワード | 非伝統的安全保障 / 東南アジア / 地域研究 / 越境犯罪 / 地域協力 |
研究概要 |
冷戦崩壊後、国家が取り組むべき課題として、麻薬取引、人身売買、海賊、違法伐採、武器密輸など、いわゆる「非伝統的安全保障」の問題が急浮上してきている。とりわけ東西の交流拠点である東南アジアは、対処能力の低い国家も多いことから、この問題は深刻である。そこで、東南アジア諸国の地域研究専門家が研究代表者、分担者となり、現地の情報をもとに問題点を的確に把握し、その上で地域間協力を視野に入れた解決の処方箋を4年間の研究で提示することを目的としている。本年度の前半は、研究代表者、分担者たちが現地で調査や資料収集・情報収集を行った。こうした調査で本年度までに三点が明らかになった。まず、シンガポールのISEASなどが行っている非伝統的安全保障研究は実態の詳細な分析を踏まえずに、国家や国際機関への政策提言をする傾向が強く、政策提言自体も無味乾燥なものが多いことである。二つ目は、麻薬取引、人身売買、違法伐採などが「非伝統的安全保障」として国家のセキュリティ上の課題としてなることで、国軍や警察など治安を担ってきた公的暴力装置が積極的に諸問題を「安全保障化」して自らの管轄事項にしようとしている姿である。感染症問題における保健省も同様であり、非伝統的安全保障上の課題は、省庁間のセクショナリズムの争いの場と化しておりそれが問題解決能力の低下につながっているのである。三つ目は、非伝統的安全保障の問題は複眼的視野から対処すべきであるにもかかわらず、それぞれのテーマがきわめて高い専門家集団を抱えているために、他分野の研究者が安易に参入しにくく、総合的研究が思ったほど容易ではないことである。 こうした点について理解を共有しながら、本年度末の3月に各自が本格的ペーパーを書き上げて、海外の連携研究者も交えて国際ワークショップを開催した。また、次年度への繰越金で研究分担者二名がインドネシアで感染症対策に関する調査を行った。
|