研究課題/領域番号 |
19251005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
ABINALES PN 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (60314267)
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研究分担者 |
岡本 正明 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (90372549)
本名 純 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (10330010)
鬼丸 武士 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (80402824)
白石 隆 政策研究大学院大学, 政策研究科, 客員教授 (40092241)
細田 尚美 香川大学, インターナショナルオフィス, 講師 (70452290)
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キーワード | 非伝統的安全保障 / 東南アジア / 地域研究 / 越境犯罪 / 地域協力 |
研究概要 |
冷戦終結後のグローバル化の進展で、国境を越える人・モノ・カネ・情報などの流れが劇的に増加し、その負の側面である、越境犯罪や違法移民、環境問題、感染症などの諸問題が、地域や国家、社会の安定と安全を脅かしているという認識から、これらの問題を安全保障の対象とする「非伝統的安全保障」という概念が生まれた。本研究が対象とした東南アジア地域は、こうした「越境する脅威」への対処能力が十分でない国もいまだに存在し、何らかの対策が急がれている。本研究では東南アジアにおける「非伝統的安全保障」問題について、越境犯罪や人身売買、感染症、違法伐採などを事例として研究をおこなってきた。最終年度に当たる平成22年度は、各自が自ら設定した研究テーマに関する現地調査を行ったことに加え、2010年6月には比較政治学会全国大会において、研究代表者、分担者からなる自由企画5:「東南アジアにおける非伝統的安全保障問題」というセッションを組んで発表を行った。 最終的に東南アジアにおいて「非伝統的安全保障」問題を調べたことから、いくつのことが明らかになってきた。「越境する脅威」を「安全保障化」することにより、問題解決のために国家の対処能力の向上や地域協力の重要性が認識されるようになり、それまで脆弱な立場に置かれていた人々の安全が守られるようになる可能性がある一方で、過度に「安全保障化」されることで、逆に人権侵害や環境破壊などが進展する危険性があること、さらに「非伝統的安全保障」という言説を巧みに利用して、自己の権益を拡大しようとする集団がいることなどである。現在、2010年3月の国際ワークショップ、そして2010年6月の自由企画のペーパーを元にして、東南アジアの非伝統的安全保障に関する編著本の出版準備を進めている。今年度中の印刷を目指している。
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