研究課題/領域番号 |
19251011
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
スチュアート ヘンリ (本多 俊和) 放送大学, 教養学部, 教授 (50187788)
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研究分担者 |
岸上 伸啓 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 教授 (60214772)
窪田 幸子 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (80268507)
大村 敬一 大阪大学, 言語文化部, 准教授 (40261250)
室 淳子 神戸大学, 学内共同利用施設等, 講師 (20437453)
常本 照樹 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10163859)
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キーワード | 先住民(族) / 主流社会 / 植民地主義 / 国民国家 / 同化 / 異化 / 表象 / 力学 |
研究概要 |
本研究の課題である先住民をめぐる異化と同化の力学に関する研究の初年度の予備調査では、主流社会と同化しながらも先住民は独自の社会と文化を表明するという異化の力学の輪郭が見えてきた。 1)オーストラリアとカナダ、グリーンランド、中国の博物館における表象を通じて、各国の対先住民政策は博物館展示にどのように反映され、国民一般にどのようなイメージが提示されているのかを手がかりに異化と同化の力学の一視点が得られる見通しとなった。同じ課題について、先住民の手工芸品が「アート」と位置づけられ、博物館から美術館へ「移動」する課題について予備調査を行なった。 2)カナダでは、カナダ連邦政府とヌナブト準州の官公庁、イヌイトの先住民権益団体において、ヌナヴト準州に対する「イヌイトの知識」問題(政府機関の運営にいかにイヌイトのやり方を活かすかという問題)を調査し、この問題の現状および官公庁と先住民権益団体の取り組みを追究した。 3)また、先住民族同士の異化、つまり主流社会に対してだけではなく、各々の先住民族が同時に自己の独自性を表出する側面も認められた。カナダのメイティとほかの先住民のあいだでは顕著に認められることである。また、北部グリーンランドと南部グリーンランドとでは、気候変動(「地球温暖化」)に対する認識の違いを確認することができた。北部では海氷の変化が狩猟に支障を来たすとして憂慮されているのに対して、ヒツジ放牧や農作物に温暖化が有利であるとして南部では異なる評価が表明されている。 4)同化と異化の問題を文学や映像作品の面から考察するにあたり、その動向を知るための予備調査として、基礎的な映像資料の収集と視聴を行った。
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