研究課題/領域番号 |
19251013
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
關 雄二 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 教授 (50163093)
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研究分担者 |
井口 欣也 埼玉大学, 教養学部, 准教授 (90283027)
坂井 正人 山形大学, 人文学部, 准教授 (50292397)
鵜澤 和宏 東亜大学, 総合人間・文化学部, 准教授 (60341252)
米田 穣 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (30280712)
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キーワード | 考古学 / 文化人類学 / 文明 / 複合社会 / 権力 |
研究概要 |
本年度は、第1にペルー北高地のパコパンパ遺跡周辺の測量を継続し、建築軸や空間的配置など景観考古学的考察を行った。これにより、遺跡中核部と周辺マウンドの位置関係、そこに点在する構造物の配置が、遠望できる特徴的な湖やスバルなどの星座の出現方向を基に人工的に決定されたことがわかった。とくに星座の出現方向の時間的変化と大規模な祭祀建造物の改築との相関関係を示すデータを入手した点は大きな収穫であった。 第2に、パコパンパ遺跡の最上段(第3基壇)で集中発掘を行った。この結果、形成期の2時期のうちで、I期(B.C.1300-800)にあたる建物の重層関係の把握に成功し、また従来、形成期では報告のなかった円形の建造物、そしてそれに付随する上塗りを施したベンチが検出された。方形半地下式広場も昨年に続いて調査し、その封印過程と、周辺の建築との相関関係を確認した。 第3に、出土遺物の分析を実施した。石製玉製品などの工芸品製作における道具類を同定し、発掘区毎の出土傾向を把握した。人骨については、性別・死亡年齢の推定と骨病変の観察を行い、埋葬人骨に高い頻度の齲蝕を確認した。またコラーゲン分析により、当時の人々のトウモロコシ摂取が他地域に比べ低調であったことも確認できた。さらに動物考古学的分析によれば、周辺に自生しないラクダ科動物の構成比が高いこと、海棲哺乳類の骨格製品などが検出されることなど他地域との関係を示唆するデータを得ることができた。こうした分析は、祭祀センターにおける具体的な人間の活動、リーダーの権力操作を復元する上で重要なデータとなりうる。なおこれらの成果については、ペルーと日本における3つの国際集会で発表した。
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