研究概要 |
本研究は,まず第1にアジアにおける循環型社会の構築へ向けての基礎調査として,アジア各国の統計と現地調査を行い,アジア各国における循環型社会形成の取り組みとアジア諸国間における循環資源流通の実態を明らかにし,アジアにける循環型社会構築のための政策提言を行うことを目指す。とくに,人間と自然の物質循環という軸(物質フロー側面)と,それをささえる社会的な制度・参画者関係の軸(環境ガバナンス側面)の両面から統計的調査と現地調査を行った。 その際,日本で開発されてきた廃棄物の処理・管理の手法をそのままアジアに持ち込むという発想ではなく,アジアにおけるそれぞれの地域での「循環型社会」の構築という視点からの取組みが重要である。この点では,アジアの各国・地域における歴史的・社会的・文化的な背景やそれらの多様性への理解を十分に踏まえた研究を行うように留意した。そのためには,統計的調査・文献調査とともに現地フィールド調査が不可欠である。それゆえ,海外学術調査を企画したものである。本年度はまとめを行った。そのために,これまでに成果を『アジア環境白書』の英語版として刊行し,さらにアジア環境会議(APNEC09)を京都で2009年11月に開催し,そのなかでアジア太平洋地域の廃棄物の越境移動により環境汚染問題を取り上げ,多角的に分析した。
|