研究課題
1)本年度はグローバル化による東アジアの「地方的世界」の現代的変容という点に着目した。その結果、「地方的世界」で多様なグローバル化が進行すること、また地方ごとに特色あるグローバル化が見られることを明らかにできたことは、調査研究の深化として意義がある。具体的には、情報化を韓国の「情報化マウル」、トランス・ナショナルな移動を中国福建省やミャンマー南部の海外出稼ぎ、エスニシティの再認識・再構築を中国雲南省や台湾の少数民族地域の展開、グローバル・ビジネスの浸透をフィリピン北部の地方都市でのショッピングセンター建設、グローバル政治をインドネシア・ジャワ島中部の地震復興プロセスの中にとらえた。同時に、これらのグローバル化と各「地方的世界」固有の環境、生活様式、価値観、文化、教育との関係性などを明らかにしたことも重要である。2)同時に、現代におけるナショナルなものと「地方的世界」の関係も明らかにした。具体的には、日本の町村合併促進下における地方の振興や医療の問題、大都市集中が急速に進む韓国の地方商店街の様相、ラオスの国民教育強化と地方少数民族の関係、ベトナムの少数民族地域における主要民族文化の浸透、東北タイ地方の高齢化や少子化の進行、インドネシア・ジャワ島の地方行政や分権化の展開などである。置かれた条件によりナショナルなものとの関係性や緊張は異なるが、ナショナルなものがグローバル化時代の「地方的世界」でも重要なことを示すことができた。3)平成21年11月に本研究が主催した国際会議Dynamics and Diversity of 'Local World' in East Asiaでも、5名の現地研究者(韓国、台湾、タイ、ミャンマー、インドネシア)による研究報告によって、グローバル化やナショナルなものとの関係において「地方的世界」のあり方などが明らかされた。本研究の成果や方向性を強化するという点でも大きな意義があった。
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ヒマラヤ学誌 (未定(掲載確定))
ページ: 11
明日の東洋学 22(未定(掲載確定))
椙山女学園大学文化情報学部紀要 9-2
ページ: 1-9
東南アジア研究 47(予定)
ページ: 86-112
立命館経済学 58-5・6
ページ: 236-260
社会学評論 60-3
ページ: 330-346
近きに在りて 55
ページ: 71-81
<共著>『アジア社会と市民社会の形成―その課題と展望』(「韓国社会における情報化マウル事業の展開と地域社会の変容-江原道東海市と済州道西帰浦市を事例に」を担当)(小倉充夫ほか編)(文化書房博文社)
ページ: 140(担当59-76)
<共著>『アジア社会と市民社会の形成―その課題と展望』(「国家による法性化を通じた中国市民社会の形成―「民間組織」からみる現状と課題」を担当)(小倉充夫ほか編)(文化書房博文社)
ページ: 140(担当39-58)
<共著>『タイ文化圏の中のラオス-物質文化・言語・民族』(「水牛の利用と互酬性-ラオス北部タイ系農村の事例を中心に-」を担当)(新谷忠彦、クリスチャン・ダニエルス、園江満編)(東京外国大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
ページ: 397(担当357-382)
<共著>A Illustrated Eco-history of the Mekong River Basin(うち Rasing Water Buffalo, Raap を担当)(Tomoya Akimichi ed.)(White Lotus)
ページ: 179(担当52-55, 103-106)
http://www.lit.kobe-u.ac.jp/ealocal/index.html