研究課題/領域番号 |
19252002
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤井 勝 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (20165343)
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研究分担者 |
北原 淳 龍谷大学, 経済学部, 教授 (30107916)
首藤 明和 兵庫教育大学, 学校教育学研究科, 准教授 (60346294)
樫永 真佐夫 国立民族学博物館, 研究戦略センター, 准教授 (10342643)
福用 恵 東京農工大学, 共生科学技術院, 講師 (50454468)
日下 渉 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (80536590)
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キーワード | 地方社会 / 東アジア / 都市 / 農村 / サステナブル / グローバル化 / ナショナル / エスニシティ |
研究概要 |
最終年度である本年度は、過去3年間に実施してきた調査研究をまとめることを中心にして研究を実施した。第一に、本研究の基本的なアプローチである「基層・動態・持続可能な発展」という側面から、各調査対象地の調査研究を見直しつつ最終的に深化させることにより、各「地方的世界」における基層、動態、持続可能性の各項目の関連性を鮮明にすることができた。また3名の海外専門家の招聘によって実施した国際会議(平成22年11月27日)を通じて、本研究における成果や課題を国際的視点から見直すとともに、一層深めることができた。 第二に、本年度はとくに、グローバルな社会変動における「地方的世界」の「持続可能な発展」の性格や特質を各調査対象地に即して解明することを重視し、東アジアが生み出すグローバル化という点での共通する問題や課題の存在、同時に各国・地域の現代的な社会条件や社会変動の独自性による問題や課題の多様性を明らかにした。たとえば日本や韓国のように地方の過疎化が主要なイッシューである場合と、内陸部メコン圏のように自給的な地方が急激な市場化によって「都市化」する場合とでは、持続可能な発展に求められる課題群は必ずしも同じではない。本年度は、国内の専門家2名から研究評価を受けて本研究の最終的なレベルアップを図ったが、そこでも持続可能性を各「地方的世界」において探求する必要性に関して貴重な指摘を得た。 第三に、東アジアにおける「地方的世界」の基層や変動を全体的に捉える枠組みや視点の形成を目指した。そのなかで、東アジアの農耕社会化によって生成・展開してきた「地方」の性格は「国家」との関係性のあり方によって類型性を生じること、また東アジアでは農耕社会化の文化的核が「稲作と仏教」という、一種の「文化複合」にあり、これと他の様々な文化的要素と混交するかにより各「地方的世界」の個性や特質が生じることなどを明らかにした。
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