研究課題/領域番号 |
19253001
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤田 耕史 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80303593)
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研究分担者 |
岩田 修二 立教大学, 観光学部, 教授 (60117695)
山口 靖 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (80283472)
山口 悟 独立行政法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究センター, 主任研究員 (70425510)
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キーワード | 氷河 / ヒマラヤ / ネパール / 気候変動 / 温暖化 / 衛星 |
研究概要 |
本研究は、これまでに積み重ねてきた現地観測のデータと衛星データに基づくデジタル標高データを多面的に利用し、氷河変動を量的にとらえることを目標の一つとしている。本年度は、まず、ネパール・クンブ地方における氷河変動を質量変化としてとらえるために、1992年に撮影され、1996年に発行されている地形図のデジタル化を進めた。また、1984年に撮影された空中写真から作成されたデジタル標高データを作成者から入手し、最近20年間の氷河変動を明らかにするためのデータ整備を進めた。さらに、衛星データに基づくデジタル標高データの精度検証を行うため、ネパール・クンブ地方において、精度の良い干渉測位GPS装置をもちいた測量観測をおこない、良質な測量データを広範囲において取得することに成功した。 また、朝日新聞社の協力により、ネパールヒマラヤにおける氷河の空撮をおこない、研究代表者のもとに保管されていた1970年代に撮影された写真との比較を行った。これらのデータを使った定量的な評価は難しいものの、一般市民ヘヒマラヤにおける氷河縮小の実態を伝えるまたとない機会となった。 上記の観測・解析と平行して、氷河質量収支モデルを用い、気候変化に対する氷河の応答が、どのような気候因子に影響を受けるかについての数値実験を進め、これまで利用されてきた「年降水量」との関係以上に、夏季における降水の有無が、気温変化に対する氷河の応答の程度に強く影響することを明らかにした。
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