1. 回収データの編集 回収された地震波・電磁気データを編集し、以下の解析を始めた。また、観測報告を米国地球物理学連合ニュースレター「EOS」に投稿した。 2. 上部マントルS波速度構造の推定 広帯域海底地震計で記録された地震波(表面波)の位相速度を測定し、位相速度の周期依存性をもちいて3次元S波速度分布を求めた。位相速度測定には観測点間の位相速度を測る「2観測点法」と震源-観測点間の位相速度を求める「1観測点法」を用いた。2観測点法からポリネシア海域下の深さ240kmまでの速度構造モデルを、1観測点法からは太平洋全体の深さ400kmまでの速度構造モデルを求めた。いずれのモデルでもホットスポットの下にマントルプルームに対応する低速度異常が認められた。現在、論文に取りまとめ中である。 3. 海底磁力電位差計による津波シグナルの検知 観測期間中の平成22年2月にチリで巨大地震(M8.8)と津波が発生した。広帯域海底地震計に付設した差圧計による水圧記録にはこの津波による水圧変動(海水面変動に相当)が記録されていたが、磁場・電位差記録にも明瞭なシグナルが認められた。これは良導体である海水が地磁気場の中を運動することによって誘導されて生じたシグナルであると考えられる。全観測点での津波シグナルを追うことによって津波がポリネシア海域での津波波面や海水の運動を推定した。これは海底観測網で津波による電磁場データの捉えた世界初の例であり、現在、論文執筆中である。
|