研究概要 |
平成20年度後半に実施が予定されていた白鳳丸インド洋航海にむけ着実に準備を進めたが,重油高騰のため航海が1年延期されることが年度途中に決定された。そこで20年度は航海準備作業は継続する一方で,国際GEOTRACES計画推進に関する国際的活動と情報交換に,より重点をおいて研究を進めた。すなわちGEOTRACES分析法相互検定航海(大西洋)に研究者を派遣し,欧米のクリーン観測手法について知見を深めた。PICES/CREAMS(東アジア縁辺海の循環研究)のAdvisory Panel会議(ソウル),および国際GEOTRACES-SSC(研究推進委員会)会議(富山)に出席し,東アジアにおけるGEOTRACES計画推進を図りつつ,グローバル研究計画とデータ管理について諸国との連携を深めた。中間まとめとして,東大海洋研共同利用研究集会「『微量元素海洋学』事始(GEOTRACES計画)」を成功裡に開催した。平成21年度には,白鳳丸によるインド洋・南極海縦断航海が,国際GEOTRACES航海としては世界の先陣を切って実施された。総計約50名の国内外からの研究者の参加の下に,海水,海底堆積物,及び大気のクリーンサンプリングと船上処理・分析作業が行われた。本航海のために研究機材の調達・補修・準備全般のほか,乗船研究者の確定と観測内容に関する具体的打合せを万全の体制で実施した。なお観測作業の完壁を期すため,7月24~30日に淡青丸を用いて本州南方海域の予備調査航海を実施した。国際会議(GEOTRACES科学推進会議および化学分析法相互検定委員会)に,研究分担者および連携研究者が積極的に参加し,我が国の国際連携体制を一層充実させた。国内外の海洋地球化学関連の学会で成果報告を行うと共に,平成22年度に予定する日本海GEOTRACES航海に向けた準備作業も並行して進めた。
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