研究課題/領域番号 |
19254001
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
藤澤 正視 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (90228982)
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研究分担者 |
稲村 哲也 愛知県立大学, 文学部, 教授 (00203208)
渡部 森哉 南山大学, 人文学部, 講師 (00434605)
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キーワード | 建築構造学 / アンデス考古学 / 地震学 / 耐震工学 / 地質学 / 動物生態学 / 文化人類学 / 植物学 |
研究概要 |
耐震工学・建築構造学担当者は、シクラの基礎構造としての振動応答特性を振動台実験により検証し、シクラの持つ耐震性能、地盤・基礎の補強性能に関する基礎データを得た。シクラの構造上の特長により、耐変形性能、耐荷重性能を発揮することが考えられ、一種の耐震釣な性能を有していることを把握した。固有周波数が高い組積造の遺構では、地震時にシクラ基礎が振動応答低減効果を発揮したことが推察され、構造物の固有周波数が低くなるにつれて、シクラ基礎の振動応答低減効果がなくなり、地震時の安定性を欠くことになったことが明らかになった。文化人類学担当者は、海岸地方諸遺跡の広域調査を実施し、シクラス遺跡および同時期の他の遺跡(カラル、ビチャマ、アスペロ、バンドゥーリアなど)を踏査して、その文化的特性を把握するとともに、アンデス高地におけるラクダ科動物の利用の実態について調査し、家畜化及びアンデス文明の形成への影響などを検討した。考古学者は、シクラス遺跡の平面図を整理し、建築プロセスを検討した。シクラス遺跡では、垂直方向に積み重なる更新が複数回確認されている。また、シクラス遺跡の特徴を把握するため、同時代の海岸の他の神殿を実見し、関連資料を収集した。建造物が複数回更新されている点は共通点であるが、古い神殿を埋める際、土、石、シクラをどのように用いるかは、神殿毎に異なっていることを確認した。地質学・地理学担当者は、チャンカイ川の主谷の出現する地形の景観から、(1)下流部、(2)中流部、(3)上流部、および(4)高原に区分され、それぞれ、1)河成段丘・土石流段丘、2)峡谷(V字谷)や地すべり、3)氷食谷(U字谷)や端堆石堤・羊背岩、4)低平な氷河侵食・堆積地形の集合、に特徴づけられることを確認した。また、地質も、1)白亜紀深成岩類、2)第三紀火山岩類、3)白亜紀堆積岩類、4)第三紀火山砕屑岩層が分布していることを確認した。
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