研究課題/領域番号 |
19254001
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
藤澤 正視 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (90228982)
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研究分担者 |
稲村 哲也 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (00203208)
渡部 森哉 南山大学, 人文学部, 講師 (00434605)
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キーワード | 建築構造学 / アンデス考古学 / 耐震工学 / 文化人類学 / ラス・シクラス遺跡 / シクラ / 振動応答低減効果 |
研究概要 |
耐震工学・建築構造学班は、模擬シクラ基礎を用いた振動台実験の解析を行った。シクラ基礎の地震時振動応答特性として、以下の事項が推察される。1、シクラの最大応答を示す周波数に近い振動、およびそれより高い周波数の振動では、シクラ基礎は振動応答低減効果を有する。2、シクラの最大応答を示す周波数よりも低い振動ではシクラ基礎は振動応答低減効果が少ない。3、シクラ基礎の振動応答低減効果はシクラ基礎の厚さに依存する。厚さが薄いと効果が小さく、厚くしすぎると応答を増幅する効果がある。4、シクラ基礎と砕石のみの基礎の層厚が同じ場合の卓越周波数はほとんど同じである。5、シクラの効果は見かけ剛性を向上させるのではなく、減衰効果を上げることが主な作用であると考えられる。 ラス・シクラス遺跡のような遺構は固有周波数が高いことから、神殿更新が成されていない初期の段階では、シクラ基礎は地震時に振動応答低減効果を発揮したことが推察され、神殿更新を繰り返して構造物の固有周波数が低くなるにつれて、シクラ基礎の振動応答低減効果がなくなり、地震時の安定性を欠くことになったことも推察される。また、シクラス遺跡の特徴を把握するため、南部海岸地域の他の神殿実見と文献調査を行った。異なる文化的変化のプロセスがあったことの一因に、人間の自然災害への対処の違いが見られ、地域や時代によって、試行錯誤のあり方に違いが認められた。 考古学・文化人類学班は、発掘調査に関わって、第4シーズンの発掘成果まで含め、断片的なデータを統合して建築シークエンスを復元した。発掘した範囲だけでも壁や床の更新が少なくとも8回認められた。その多くは、中央に炉を備えた方形空間に対応するものである。
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