研究概要 |
西インド洋モーリシャス島はマダガスカル島の東に位置している島である。モーリシャス島のサンゴ礁は人間活動によるダメージが極めて少ない。現在二つのモニタリング地点があり,サンゴの健康状態,特にサンゴの白化は少なく,は極めて良好であることが調査で確認できた。生きているサンゴは62%(Acropora fomosa, Acropora digitate),藻類が35%である。ただし最近の2年間で藻類の割合が51%にまで増加していた。調査地点はPort Louis側にあるAl Bionと反対側のBambous Virieuxの2地点である。モーリシャスのサンゴ礁の水温は29℃近くにもかかわらずサンゴの白化の程度は非常に少ない。そのため本研究調査域の対象は2箇所のサンゴ礁で海草群落と共存しているサンゴ礁海域,海草群落と少し距離をおいているサンゴ礁,海草群落がほとんどないサンゴ礁海域の3つのケースで調査した。この3つのケースで主な有機物生産者(褐虫藻,海草,プランクトン等),有機物量,分解者(微生物)を調査した。海水中の栄養塩濃度は0.5〜1.0マイクロモルと非常に少ない。溶存有機炭素濃度も72〜80マイクロモルと沖縄のサンゴ礁の濃度とほぼ同じである。ただし,海草群落付近の溶存有機炭素濃度は110〜124マイクロモルと高く,有機物の供給源の可能性が示唆された。現在植物プランクトン,微生物および色素についても分析中である。窒素固定量の測定を行った。窒素固定量は海草群落の少ないところで低く(2.7〜5.1mgN/m^2,day),海草群落と共存しているところで高い値(7.5〜24.5mgN/m^2,day)を示した。アルカリ度の測定から藻場とサンゴが共存している場所ではアルカリ度に変化の傾向が小さいことが観測された。
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