研究分担者 |
増沢 武弘 静岡大学, 理学部, 教授 (40111801)
坂田 有紀子 (別宮 有紀子) 都留文科大学, 文学部, 准教授 (20326094)
久米 篤 九州大学, 農学部, 准教授 (20325492)
大園 享司 京都大学, 生態学研究センター, 准教授 (90335307)
内田 雅己 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (70370096)
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研究概要 |
本年度は高緯度域の夏期の植生活性度は温暖化が植生変化に与える影響を調べる上で重要な指標となることから、カナダ北極のエルズミア島の現地調査でTrimble GeoXH GPS(Nikon Trimble Inc.)とLAI2000(Li-cor Biosciences Inc.)を用いて植生位置とLAIを測定した。また現地調査日に近いALOSの衛星画像も取得し、衛星画像の近赤外域と赤色域のバンドをもとに計算したLAI値と現地調査でLAI2000からの測定植と比較した。結果として、LAI値に高い相関が見られ、広域にLAIの推定が可能であった。さらに、エルズミア島のモレーン上では維管束植物の定着にとって不適な条件下にあり、植物の分布や定着は非常にまばらであることから、本年度は小氷期に形成されたばかりのモレーンを対象として,トポロジー,凹凸,礫からの距離,その礫のサイズ,細粒物質の被度等を記録し、維管束植物の定着セーフサイトを調査した。その結果,セーフサイトは,凹地で大きな礫の近くであることが分かった。また新しいモレーン上は生物的環境としては厳しく,非常に不安定な場所だが,比較的生育に好適なマイクロサイトが存在すること分かり、氷河後退後の植生発達の第一段階として重要であることが示された。一方、スバールバル諸島スピッツベルゲン島のニーオルスンでは、土壌中から海成の貝化石が発見されているため、本年度は海成土壌層を含む土壌中の有機炭素量、窒素量および微生物バイオマス調査、及び遷移初期と後期の土壌に炭素源と窒素源を加え、微生物呼吸の推移およびバイオマスの組成変化を調査した。その結果、遷移初期と後期では、炭素、窒素、炭素・窒素を添加した際の応答は異なった。とくに、遷移初期では微生物による呼吸は炭素・窒素両方が制限要因となっていることが明らかとなった。
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