研究課題
本課題ではノルウェー北極及びカナダ北極の高緯度地域における氷河後退に伴う植生変化を中心に、気候システムの変動がツンドラ生態系に与える影響評価を目的としてきた。ノルウェー北極のスピッツベルゲン島では最終年度は2010年7月、種子植物、蘇苔類、地衣類、菌類とそれぞれの炭素循環等生理生態的な特性が環境とどう関わるかについて調査、とくに菌類の生態系における役割については、約60日に及ぶ調査を展開した。北極の氷河後退域では遷移の進行に伴う変化と、温暖化による環境変化が同時に進行しており、炭素循環機能はその両方の影響下にある。前者はリモートセンシング手法と遷移に沿った現地調査、後者はモデル解析によって研究を進めてきた。これにより、炭素の蓄積量や放出量などの経時的な変動や、温暖化による機能変化についての情報が得られ、陸上生態系の機能変化が気候環境にもたらすフィードバックに関する理解が得られた。一方、カナダ北極は植生の線的な広がりを観測することを視野に入れて、植生が緯度の異なった環境でどう変動するかを知るために、北極における高緯度から低緯度に至るまでの地域を対象に、調査が進められた。最終年度は8月、北極カナダ、コーンウオーリス島レゾリュートで環境と植生について調査した。小島でありながら基地周辺には見事な蘇苔類群落が広がる地域が多数、認められた。この島は高緯度地域の航空拠点あるいは前進基地として位置づけられているため、自然環境とはいくらか異なった人為的な排水、廃棄物等による富栄養化の影響が進んでいるという興味深い知見が得られた。
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