研究課題/領域番号 |
19255007
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
加藤 雅啓 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 部長 (20093221)
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研究分担者 |
岡田 博 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40089892)
山田 敏弘 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 講師 (70392537)
田中 法生 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究員 (10311143)
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キーワード | カワゴケソウ科 / 茎頂分裂組織 / 系統樹 / ボディプラン / 遺伝子発現 / 相同性 / 発生 / 細胞脱離 |
研究概要 |
1.ラオス・タイ、インドなどで野外調査し、資料収集を行った。証拠標本の他、形態観察用液浸資料、系統解析用乾燥サンプル、実生培養・形態観察用種子を採集した。遺伝子単離と発現解析用にアルコール液浸資料とRNAlater液浸資料を現地で作成した。 2.収集したサンプルを用いて、matK遺伝子の塩基配列を決定し、系統樹を作成した。その結果、従来の属の定義を覆す系統関係が推定された。とりわけ、Dalzellia gracilisが別の新属であることを明らかにした。 3.種子を寒天培地と液体培地で発芽・実生培養し、子葉が1枚の種を発見するなどし、実生段階で著しいボディプランの変更が起こっていることを確認した。 4.実生および成体の形態を、特に分裂組織(およびその有無)、ボディプラン形成、葉・根・花の器官形成について超薄切片法を用いて観察した結果、苞が内生的に発生し、しかも細胞脱離により個別化することを発見した。一方、花自身は通常通り外生的に形成される。 5.シロイヌナズナの茎頂分裂組織SAMで特異的に発現するSHOOT MERISTEMLESS遺伝子の相同遺伝子を、3',5'RACE法により、カワゴケソウ属などから単離した。リアルタイムPCR法とin situハイブリダイゼーション法を用いて、SAMが組織的には存在しない部位で相同遺伝子が発現することを確認した。これにより、異所的発現が特異なボディプラン形成に関与していると示唆された。 6.分布データと系統樹をもとに生物地理を解析した。その結果、ラオスには形態的に多様なカワゴロモ属が分布することをはじめて明らかにした。 7.Weddellina squamulosaの発生形態学研究から、この植物のシュートと他の種属の葉が相同である可能性が示唆された。
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