研究課題/領域番号 |
19255008
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研究機関 | (財)日本モンキーセンター |
研究代表者 |
西田 利貞 財団法人日本モンキーセンター, 所長 (40011647)
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研究分担者 |
中村 美知夫 京都大学, 野生動物研究センター, 准教授 (30322647)
松阪 崇久 財団法人日本モンキーセンター, 特別研究員 (90444992)
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キーワード | 文化 / 流行 / 発達 / 行動目録 / 道具 / 狩猟 / 社会的遊び / DNA解析 |
研究概要 |
1999年-2007年に撮影したビデオ映像記録から行動を抽出し、詳細な行動パターンごとに個体、性、年齢、頻度、行動の文脈などをまとめた。その成果の一部として、文化の流行と衰退についての全般的な報告をNishida <et al.>___-2009として、口や手を木の枝や葉にこすりつける行動の流行をCorp <et al.>___-2009として出版した。また、ピルエットという運動・回転性の遊びの発達、機能、性差について論文をまとめ、Nishida & Inabaとして投稿した。ビデオ映像記録をもとに、これまでマハレ集団で知られている行動の包括的な目録を作成した。これは、DVD(ビデオ)つきの「映像エソグラム」としてSpringer社から単行本として出版する予定である。動物の詳細な映像エソグラムとして世界初の試みであり、霊長類の文化研究の基礎として大きな役割を果たすものと期待される。M集団では道具を使った狩猟行動が昨年度に引き続き観察され(ただし捕獲には失敗)、それが単発的な行動ではないことが示唆された。また、肉分配においてアルファオスの母親が肉を保持して他のメスやコドモに分配するケースが観察された。チンパンジーの「物を伴った社会的遊び(SOP)」は、ニホンザルとは異なり、物を一人遊びに利用することが多く、SOPは少ないことがわかった。また、伴われる物体の「価値」が、コドモのSOPの持続時間等に影響を与えている可能性が示唆された。ミトコンドリアDNAの分析により、マハレと近隣のウガラ、カロブアなどの地域との遺伝的分化の程度が小さいことが示された。これらの西タンザニアの地域間での行動の差異は文化的である可能性が高いと考えられる。 収集資料:写真4840枚、ビデオテープ60本、野帳46冊
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