研究分担者 |
舟橋 和夫 龍谷大学, 社会学部, 教授 (80081173)
星川 和俊 信州大学, 農学部, 教授 (40115374)
竹中 千里 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (40240808)
大場 伸也 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80221836)
川窪 伸光 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (60204690)
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研究概要 |
本研究の目的は,東南アジア大陸部の天水田に樹木が混在する「産米林」について,水稲生育に及ぼす効果を定量的に明らかにすると共に,水田および水稲と樹木の相互作用を解明するとともに,産米林が天水田においてどのように維持されてきているのかを植物生態学と農村社会学の立場から明らかにすることである. 平成19年度では6月〜3月の間に研究代表者及び分担者が,天水田稲作農村において,実地調査を行った.対象村の水田約400ヘクタールの中に,およそ1000本の樹木を確認し,学名,現地名,樹高,胸高周囲長,用途,イネへの影響,微気象,土壌水の化学性,動植物相,所有世帯,相続を記録した.これらは現在データベース化作業を行っており,一部についてGISによる分布図作成が可能となっている. 農家へのインタビュー結果によれば,水田の樹木には開田時に有用性(建材,薬用,油糧用など)が認められて保護され残存している種類と,人為的に移植されて生育している果樹などの両者があることが確認された.前者の中にはイネの生育にとって好影響を及ぼすものと悪影響を及ぼすものがあり,悪影響のある樹種もその有用価値が高いためにあえて水田中に残されていることがわかった. 農家による評価を基に主要な樹種について測定した樹冠下の日射量と温度には,樹種間の大きな差があることがわかった.樹木周辺のイネの収量を測定したところ,ほぼ農民の評価と同じような収量への影響を確認することができた.両者の結果から,イネの生育と収量にとって,樹冠による日陰が必ずしも制限とはなっていないことが示唆された. 乾季に採集した落葉落枝の量と各種成分量にも,樹種間の大きな違いがあり,全炭素以外の成分量の少ない樹種はイネの生育に悪影響といわれる樹種に該当した.イネの生育に好影響と評価される樹種では昆虫を主とする生息小動物の種類数が豊富であることがわかった.
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