研究分担者 |
舟橋 和夫 龍谷大学, 社会学部, 教授 (80081173)
星川 和俊 信州大学, 農学部, 教授 (40115374)
竹中 千里 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (40240808)
大場 伸也 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80221836)
川窪 伸光 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (60204690)
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研究概要 |
本ラオス国内の継続調査対象農村において,19年度に引き続き,水田内の観測対象樹木について,周囲の環境要因,イネの生育及び収量,ならびに棲息動物調査を行った.土壌中の各種成分,ならびに田面水のイオン濃度には樹木からの距離や樹木間による違いが認められた.実測ならびに模型飛行機による空中撮影によって,樹木の周りのイネの生育は,樹木によって,近いほど良好な場合,劣る場合,ほとんど無関係の3種類が認められ,前年度とほぼ同様の傾向が確認された.棲息動物種数には樹種間の大きな差があった.種数は,農民が稲にとって良いと認識している樹種ほど多かった.この差は樹高や生枝下高よりも日射量の多少との関係が強いと見られた. イネの生育と収量への影響は樹木に付随する蟻塚との関係が強いことが観察から推定されたため,対象水田域の蟻塚の分布及び大きさを調査し,GISによって特徴を検討した.また水田内樹木の分布そのものにも,樹種によって様式の差があることがわかった.これには植物の特性以外に,人間活動が強く効いていると考えられる. 村人による樹木利用に関する調査から,樹種別に詳細な利用価値を認めていることが明らかになった.樹木の利用価値と稲への影響を,東北タイで調査したところ,ラオスとほぼ同様の傾向が認められた.ただし,化学肥料を多用しているタイの稲作においては,樹木の存在が収量を阻害する傾向も強いと考えられる.さらにカンボジアにおいて実態調査を行ったところ(費用別途),産米林的景観の組成はラオスや東北タイと異なることが観察された. 研究成果の中間評価ならびに成果還元を目指して,ラオス国立農林業研究所,ラオス国立大学ならびにタイ,コンケン大学農学部の研究者,および調査村の村民,地区行政担当者と共にシンポジウムを催した.発表した成果に対し高い評価と研究進展への期待を受けた.
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