研究概要 |
マレーシア半島部の低地フタバガキ林を対象に、択伐後,約50年を経過した二次林および天然林で地上部の現存量の推定,個体間および種間の位置関係,林内構造の再構築を行うための現地調査を行った。二次林の現存量は択伐後約50年を経ても天然林より約30%低下していた。林冠の三次元構造をリモートセンシング技術(空中写真やレーザー測器)で測定し、森林の亜高木層以下の階層の現存量が推定可能か天然林を対象に調査を行った。その結果,亜高木層の空間的変動はリモセン技術で推定可能なことが分かった。しかし精度については詳細な現地調査が必要で,特に亜高木層の現存量推定は林冠木や突出木を対象としたアロメトリー関係式がそのまま適用できないので,新たなアロメトリー式が必要がある。天然林内において,フタバガキ科を対象に樹種の土壌,地形に対する選好性を分析したところ,現時点での分布環境における肥大成長や加入率が、分布の空白域や境界域にくらべ高いことが分かった。このことは主要構成種であるフタバガキ科樹種の間でニッチの分割が起こっていることを示唆する。枯死材分解率の水平変動性解明を目的として,2008年8月に木片試料1000本を1m間隔に設置した.約1年後に回収し,その間の重量減少量より成熟林内での分解率の水平変動の大きさを評価した.森林生態系において表層土壌に分布する細根は深層土壌にくらべかなり多く、表層細根の変動は森林生態系の総炭素蓄積に与える影響は大きいと考えられる。低地フタバガキ林に小形の方形区を4ヶ所設定し、区内の細根量を測定した。その結果、直径2〜5mmの細根の変動係数はより細い細根に比べ大きく、土壌中の分布が均質でないことが明らかになった。
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