研究概要 |
マレーシア半島部の低地フタバガキ林の択伐後,約50年経過した二次林において地上部現存量の推定,個体間・種間の位置関係の調査を行った。ネグリセンビラン州,パソ保護林の南端部に300×200mの試験地を設定し,1998年から2009年に2年おきに毎木調査(1cm以上の樹木の直径,樹木の位置)を行った。その結果,この10年間に地上部の現存量が約20%増加し、このままの速度で増加すれば約10年後には天然林の現存量とほぼ同水準(350トン/ha)にまで回復することがわかった。現存量の増減の空間的変動を見ると,尾根筋での増加量が著しく大きく,低地部や湿地部では現存量は殆ど変化していないことがわかった。また大径木の生長量が大きいこともわかった。伐採路や搬出路設計は特にこうした地形的要因による現存量回復の時空間的変動に対して特段の配慮が必要であると考えられる。 分解速度の空間変動性の把握を目的とし,50haプロット内でgap域と閉鎖林冠域を含む延長1000mの線上に1m間隔のリターバッグ設置し,その重量率を観測した.林冠木の死亡率の将来予測を目的とし,同50haプロット内のDbh>30cmの全個体計3473本と,Pasoh森林保護区内のに設けた2本のベルトトランセクト,総延長5600mで幅10m内のDbh>30cmの個体計690本について,樹形観測から健全度を評価した.健全度-過去の肥大成長速度-死亡率の相互関係にもとづき,健全度から個体ベースで死亡率を予測するモデル式を開発した. 森林の地下部バイオマスを広域的に評価するために、低地フタバガキ林における樹木細根の水平分布の変動幅をさまざまなスケールで調査した。その結果、1m×1mの方形区においても、100m×100mの方形区においても、細根分布の変動係数は直径階ごとに一定のレンジにおさまることが明らかになった。
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