研究課題
本調査では牛を主要なレゼルボアとしヒトに感染するTrypanosoma brucei rhodesiense(Tbr)の分子疫学的調査を目的として実施している。患者発生の報告があり、実際に血液検体からヒト血清抵抗性遺伝子(SRA)陽性のTbrが見いだされたザンビアの東部州Chama地区で調査を実施した。野生動物保護区周辺でのツェツェバエ採取と家畜(ウシ、ヤギ)の採血を行い、DNAを抽出精製した。また後者では、毛細管遠心後の血液を顕微鏡観察し、原虫体の検出を行った結果、T.vivax,T.congolense,T.bruceiの感染が確認できた。精製DNAについては国内でトリパノソーマの遺伝子検査をloop-mediated isothermal amplification(LAMP)ならびにPCRにより実施した。その結果、ツェツェバエならびにウシ試料からSRA遺伝子が検出され、同地域でのTbrの存在が確認できた。しかし、免疫抑制マウスでの原虫分離、ならびに感染血液のヤギへの接種を行ったが、短期間原虫が見られた例があったものの、分離には至らなかった。また、人からの分離株との遺伝子型比較を行うため、マイクロサテライトマーカー解析に着手した。今後、野生動物を含めた広範囲な調査が必要であり、H22年度に再度の調査を計画している。スーダンでは海外研究協力者の協力を得て、ラクダの採血を実施し、DNAを採取した。それらの検体をPCRで検査したところ、地域にもよるが20~50%の感染率であり、ITS領域の増幅サイズから全てがT.evansi(もしくはT.brucei)であろうと考えられた。また、ウガンダ、ザンビア、タンザニアで採取されたウシならびにマダニDNA試料からは人獣共通感染症病原体でもあるEhrlichia ruminantiumの検出も試みている。
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