研究課題/領域番号 |
19255016
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井上 京 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30203235)
|
研究分担者 |
平野 高司 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (20208838)
波多野 隆介 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (40156344)
谷 宏 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (80142701)
斎藤 秀之 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (70312395)
玉井 裕 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (50281796)
|
キーワード | 熱帯泥炭地 / 森林・泥炭水災 / 温室効果ガス / オイルパーム / カリマンタン / ボルネオ / 国際研究者交流 / インドネシア:マレーシア |
研究概要 |
本研究は脆弱かつ大量のカーボンを抱え込んだ生態系である熱帯泥炭地を対象に、カーボンフロー・コントロールに立脚しながら、1)ランドマネージメント最適化方策を確立することによって泥炭火災を抑止し、2)荒廃した熱帯泥炭地の管理と再生をすすめ、3)熱帯泥炭地における持続的生物生産活動を確立しつつ環境負荷を軽減すること、を目標としている。今年度も次の2グループが、インドネシア側研究者と連携をとりながら実施してきた。 ◎カーボンフロー・モニタリング・グループ 泥炭の乾燥にともなう酸化分解の促進とそれによる温室効果ガス排出量の増加を、農地4地点、自然林1地点、火災跡地3地点、及びプランテーション6地点において月1回の頻度で年間測定した。泥炭の酸化分解量、土壌呼吸、CH_4フラックスは主に地下水位に制御され、N_2Oフラックスは泥炭の酸化分解と施肥によって増大した。 SPOTとMODISの衛星時系列データから火災後の植生回復マップを作成した。この結果をGPS位置データ付き写真(2003年から2009年まで)をグランドトゥルースとして用いて比較したところ,本マップの有用性が確認できた。 泥炭湿地林の土地利用転換に起因する陸水環境の酸性化が、河川および河川底質の生物群集の生産に及ぼす影響について調査した。陸水環境への硫酸の負荷は、河川生態系の生産および生物多様性を著しく低下させていることが示された。 ◎ランドマネージメント・グループ インドネシア・南カリマンタン州の天然林および荒廃地から土壌を採取し、土壌の化学性を測定し、トラップカルチャーによりアーバスキュラー菌根菌を単離した。 Shorea balangeranの育苗における被陰と灌水の条件を検討した。播種から定着までの初期成長は50℃を超す高温で枯死することが解り、播種してから約1ヶ月は被陰を必要とするが解った。その後は強光・高温・土壌乾燥に対する苗木の順応性が高く、直達光や無灌水の条件でも健全な苗木を育成させられることが解った。 オイルパーム廃材には窒素源が十分に含まれていたため、米ぬかなどの補助栄養源の添加無しでも迅速な菌糸成長が認められ、培地1kgあたり約300gの子実体が収穫された。オイルパーム廃材はキノコの培地として有用であることが示された。またオイルパームの枝条、幹材および空果房から培地を調製し、インドネシア産ウスヒラタケの栽培試験を行った。 石油代替液体燃料となるバイオエタノールをインドネシアの産業廃棄物から製造することを目的に、オイルパーム廃棄物である空花房の酵素糖化を行った。未利用バイオマス成分と見做せるリグニンの水溶性誘導体を糖化時に添加することにより、グルコース収量の顕著な増加が観測された。
|