研究課題/領域番号 |
19255017
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
真木 太一 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 客員教授 (80314970)
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研究分担者 |
脇水 健次 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00240903)
礒田 博子 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (00375429)
森尾 貴広 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (10292509)
杜 明遠 独立行政法人農業環境技術研究所, 主任研究員 (80354083)
八田 珠郎 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 主任研究員 (60164860)
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キーワード | 黄砂 / DNA鑑定 / 病原菌・ウイルス / アレルゲン / 沙漠化 / 地球環境 / 中国 / 気象環境 |
研究概要 |
本年度の研究において、以下の6項目が明らかになった。(1)日本に飛来した多くの黄砂試料の鉱物・化学組成、表面特性等を分析した。従来、明確に同定されていなかった窒素は、アンモニウム硫酸塩鉱物として同定された。黄砂の供給源地域は乾燥条件下であるが、黄砂には常に多くの二次鉱物が含まれており、水溶性鉱物も存在することから、上空における水の関与や再結晶作用が示唆される。解析から黄砂構成物質は低温~常温でpH<9、高い水の活量条件で生成し、飛来するものと考えられる。(2)2009年~2010年黄砂発生時に日本上空から採集した浮遊物質からアレルゲン物質の検出を試みた。I型アレルギーモデル細胞であるラット好塩基球(RBL-2H3)細胞を用いて、採集浮遊物質抽出液の脱顆粒活性を調べた結果、採取サンプルにアレルゲン物質LPS、Cry j1の含有が確認され、化学伝達物質β-hexosaminidaseの遊離とサイトカインTNF-αの分泌を促がすことが判明した。さらに、それぞれの水抽出液に細胞毒性が認められた。(3)宮崎県での2010年3月26日における水牛口蹄疫の初発生は、中国甘粛省の3月14日発生豚口蹄疫からの3月16日と3月21日の黄砂飛来病原菌による伝播であると推測された。宮崎県内での口蹄疫発生以降は、主として地上風による伝染蔓延である。(4)中国の敦煌と奈曼の新開墾地のダスト量と濃度には人間活動による影響が大きく、砂丘、ゴビ、農地、新開墾地の順に多かった。また、筑波での黄砂量との関連性が認められた。(5)2010年の日本の黄砂日数は観測史上4位、黄砂延べ日数は史上2位であった。福岡での黄砂は3月21日と5月20日が非常に多く、月別では5、12月が平年の3倍であった。福岡では黄砂飛来日には、ほとんどの場合、高度500~2000mで気温逆転層と西風が観測されていた。(6)中国・モンゴルから正式に持ち帰った黄砂に関して、口蹄疫病原菌については、引き続き解析中である。
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