研究課題
基盤研究(A)
中国・モンゴルの大陸で強風による砂嵐により巻き上げられた黄砂は地球を回遊する。その黄砂に大気汚染物質を始め、口蹄疫、豚コレラ、ムギサビ病が付着して日本および地球規模で輸送され発生・蔓延することが推測されるが、確認できていない。それら病原菌をDNA鑑定技術によって評価・確定する。(1)中国・敦煌と内蒙古奈曼の半固定砂丘域の新開墾農地でダストキャチャーによるダスト舞い上がり量を調べた結果、ダスト濃度の差異には人間活動(農業)の影響が大きかった。(2)2008年3月3~4日の黄砂中の鉱物種を同定と構成元素と最表面に存在する元素の特性評価より、黄砂の構成鉱物は種々の塩類、二次生成物が主であり、含水鉱物は硫酸塩であり、重金属元素も微量含まれる。(3)黄砂粒子のバルク組成と黄砂最表面組成とは大きく異なり、試料最表面にはCとOとNとが相対的に多く存在し、最表面には人為活動であるNが偏在し、複数の化学状態を確認した。(4)2008年3~5月沖縄、福岡、つくば採取の黄砂について、全RNAを抽出し、口蹄疫ウイルスのDNA断片プライマーを用いたリアルタイムPCR解析法で、黄砂付着口蹄疫ウイルスDNAの検出を試みた結果、H_2Oでは見られなかった特異的なDNAの増幅が検出され、日本各地から採取した黄砂サンプルに口蹄疫ウイルス付着の可能性を確認した。また、評価法の改良を行いつつある。(5)黄砂とアレルギー症状の広範囲な文献調査を行うとともに、2009年の黄砂発生期の浮遊物質にアレルギー原因物質アレルゲン研究で、アレルギーモデル細胞を用いて採集浮遊物質抽出液の化学伝達物質β-ヘキサミニダーゼの遊離に与える影響から黄砂アレルゲン物質について興味深い知見を得た。
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日本学術会議農学委員会風送大気物質問題分科会報告
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