研究課題/領域番号 |
19256001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 芳嗣 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (00173922)
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研究分担者 |
松本 安喜 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (90251420)
吾妻 健 高知大学, 医学部, 教授 (40117031)
細川 篤 琉球大学, 医学部, 講師 (10181497)
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キーワード | リーシュマニア症 / モンゴル / オオスナネズミ / 内臓型リーシュマニア症 |
研究概要 |
旧大陸における内臓型リーシュマニア症の病態疫学調査のためスリランカやバングラデシュ等インド亜大陸におけるL.donovani s.l.の比較解析を開始したが、これらの研究から旧大陸に分布するリーシュマニア原虫についてより広く比較解析をする必要性が出てきた。そこでL. donovani s.l.による内臓型リーシュマニア症の存在が確認されている中国新疆ウイグル自治区に隣接しており、比較的政情の安定しているモンゴルにおいて調査を行った。リーシュマニア症の保虫動物として知られているオオスナネズミを対象にリーシュマニア原虫の分離を試みた。オオスナネズミはモンゴル南部のドルノゴビ、ウムヌゴビ、ウブルハンガイの各県で採集を行い、培養によるオオスナネズミ耳介部からの原虫の検出を試みた。その結果ドルノゴビ、ウムヌゴビ、ウブルハンガイ県からの検体よりリーシュマニア原虫が検出され、検出された原虫の株化に成功した。これら原虫株のアクチン遺伝子部分塩基配列を決定し既知のリーシュマニア原虫の当該配列と比較を行った結果、モンゴル分離株はいずれも中国において以前分離されたL.turanicaと100%一致しL.majorとは14塩基、インド由来のL.donovaniとは27塩基異なっており、モンゴル分離株はL.turanicaであると同定された。本研究はモンゴルにおけるリーシュマニア原虫動物感染例の二十年ぶりとなる再記載となり、モンゴル南部において未だにL.turanicaが浸淫していることが明らかとなった。モンゴルにおいてヒトにおけるリーシュマニア症の報告は未だに無いが実験感染ではL.turanicaのヒトへの感染が報告されているためヒトへの感染に注意を払う必要があると考えられた。また、今回分離されたL.turanicaはL.donovani s.l.との比較研究において重要な対照群となると考えられた。
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