研究課題/領域番号 |
19300001
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐々木 建昭 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (80087436)
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研究分担者 |
櫻井 鉄也 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (60187086)
甲斐 博 愛媛大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (10274341)
加古 富志雄 奈良女子大学, 理学部, 教授 (90152610)
福井 哲夫 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (70218890)
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キーワード | 近似代数 / 近似代数計算システム / 浮動小数グレブナー基底 / 数値数式融合計算 / 連立代数方程式とDixon終結式 / 多変数代数関数の級数展開 / 特異点とHensel級数 / 製係数多項式の近似因数分解 |
研究概要 |
課題1(浮動小数グレブナー基底の計算プログラム開発)昨年度に考案した浮動小数グレブナー基底の計算法のプログラムをほぼ開発し終えた(佐々木・加古)。さらに、グレブナー基底の条件数を定義するとともに悪条件な場合を分類し(分類は数学的に不十分)、悪条件性を軽減する方策を二つ提案した(佐々木・甲斐)。一つはS多項式とM簡約において異常性の少ない多項式を先に選ぶ方策であり、他は悪条件性の少なそうな項順序で計算して後で元の項順序に戻す方策であるが、更なる実験・改良を要する。 課題2(多変数多項式系の局所解析法の探求)連立代数方程式に対するDixon終結式を用いる解法について、性能評価を行い、処理時間を要する数式処理部分に数値計算を導入して高速化を行った(櫻井研)。また、その数値謙算で用いた周回積分法とKrylov部分空間反復法についても、安定性の改善と計算の高速化を行った(櫻井研)。 課題3(ヘンゼル級数を利用した解析接続法の開発)多変数代数関数の特異点での展開級数(Hensel級数と命名)の展開点近傍での収束性と多価性をほぼ明らかにした(佐々木研)。これは特異点近傍での数値解析の創建に道を開くもので、本年度の最大の成果である。前年度に未解決であった収束領域公式の導出に関しては4ヶ月を費やしたが、未だ証明を完成するには至っていない(佐々木)。その他の成果整係数多項式の近似因数分解(近似代数の当初からの課題)に対し、何とか使える算法を考案した(佐々木・加古)。有限体上の有理関数補間で起こる到達不能点を利用した、秘密分散法の提案を行った(甲斐)。数式計算ができて幾何図形や数学教育コンテンツの編集ができる新しい数学文書処理系の研究・開発を行った(甲斐)。計算代数を応用して、計算幾何学のアルゴリズムによる計算誤差を回避することに成功した(福井)。
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