研究概要 |
本研究では統一的な視点から下記の3課題に取り組んだ. 課題A.距離情報から点の座標を求める問題とその応用,課題B.三角形メッシュ改善問題とその応用,課題C.三等分曲線の計算問題とその応用 課題Aに関しては従来の大規模な行列計算を用いる方法ではなく,アルゴリズム理論に基づいてデータが大規模になっても効率よく計算が実行できる仕組みを考案するなど,予備的な研究を既に終了し,すでに国際会議で発表すると共に国際ジャーナルにも採録された.本年度は開発したアルゴルズムを計算機プログラムとしで実装することに力を注いだ.世界的に広く使われているアルゴリズム・ライブラリであるLEDAを用いて,C言語による実装を現在も継続して行っている. 課題Bに関しては,既に国際会議での報告も終わり,さらに国際ジャーナルに投稿して採択が決定した.昨年度の終わりかは最適化の基準を変更して新たな問題に挑戦した.すなわち,従来のように最小内角の最大化だけではなく,メッシュを構成する三角形に関する他の尺度,たとえばアスペクト比のようなものを用いた最適化問題である.動的計画法を利用すれば,ある制約の下では多項式時間で最適解が得られることを示した.さらにアルゴリズムの実装についても進めている. 課題Cに関しては,三等分曲線を用いた新たなボロノイ図の構成に関する研究成果を更に別の国際ジャーナルに発表するとともに,新たな方向の研究も開始した.具体的には,ユークリッド距離ではなく,マンハッタン距離の一般化である多角形距離を用いて,本来,高度な曲線になる三等分曲線を区分的多角形線分列で近似しようというものである.殆どの性質を保ったままでの拡張が可能であることを確かめた.さらに細部を詰めている段階である.
|