研究概要 |
1.高信頼標準セルの提案と評価 実施計画「正負両極性を入出力とする標準セルを使うことによりエラーに対処する従来にないアイデアに基づいた各種基本セルの組み合わせを検討する」に対し、具体的に、排他論理和とセレクタについてトランジスタレベルの評価を行い、エラー伝播回路を内部に組み込むことにより、セル内部異常を次段へ伝播、および、セルに対する入力異常を次段へ伝播のいずれの機能についても問題がないことを確認した。 2.高信頼標準セルの規則的配置に基づく自己安定化演算回路の提案と評価 実施計画「標準セルの具体例に依存しない自己安定化演算回路の構築手法について研究を進める」に対し、前述した、内部異常の伝播および入力異常の伝播の両機能を有する耐故障セルを基本部品とした、64ビット大小比較回路を構成し、遅延時間、回路規模、信頼性の評価を行った。従来型基本セルの3重化により構成した場合に比べて、同規模の遅延時間、回路規模を維持しつつ、大幅に信頼性を向上できる見通しを得た。 3.自己安定化演算回路を合成・評価するCADシステムの提案と評価 正負両極性を入出力とする標準セルによる回路と従来セルによる回路の信頼度は前者のほうが直感的には高いはずであるが,その客観的な値を効率的に見積もる手法を考案した.今後は,考案した手法を実装し,実際に信頼度を検証する予定である.また,回路の信頼度を向上させるために多数決回路を自動的に挿入する手法に利用する予定である. 4.自己安定化演算回路のみからなる高信頼アーキテクチャの提案と評価 実施計画「既存命令セットを自己安定化演算回路に写像するために必要な変換/分解機構」に対し、実際に、ARMアーキテクチャおよびFRVアーキテクチャの機械語命令を各々分解し、単純な演算器のみを装備するバックエンドにおいて並列実行するプロセッサ構成方式を考案し、シミュレータ上ではOSおよびアプリケーションが動作するに至っている。
|