研究概要 |
本研究は、非常にシンプルで低価格で実現可能な超小型センサノードを開発し、マイクロホン、振動センサなどを用いて、生活環境をセンシングし、学習するとともに、簡易なデータ処理と各センサからの情報統合によりユーザや環境の状況認識を行う技術の研究開発が目的である。本研究の特徴は,各分散ノードがそれぞれ小規模ながら処理能力を持ち,コンテキスト情報を認識しその結果を通信デバイスを通じてイベント出力するスマートセンサにあり,従来の中央集中型のセンシングシステムに対し,柔軟なセンサネットワリクシステムを実現する.このセンサが認識するコンテキストの例としては,「ドアの開閉」「椅子への着席」「カーテンの開閉」「計算機の利用」「机にモノを置く」などが挙げられる.最終年度は、初年度に構築した、小型DSPマイコンで実現されたスマートセンサInstant Learning Smart Sensor(ILSS)を用い、前年度に開発した、複数スマートセンサでの実世界センシング活用に加えて、ユーザからの教示を可能な限りシンプルに行う「インスタント・スマートラーニング」手法の一つとして、「ダイレクト・ティーチング」手法を考案した。我々のスマートセンサを用いる際には、ユーザは、センサに対し、認識音の教示が必要である。これまでは、PCを補助デバイスとして、ユーザが認識対象を一つ一つ教示を行う必要があったが。一方、ダイレクト・ティーチングでは、認識対象音を聞かせた後、必要な操作を例示する、という行為によって、直接的に動作の指定が可能になる。ダイレクト・ティーチングの有効性は、実験によって確認されている。 また、本年度は、センサ応用としてつくばチャレンジ2009に参加し、センサの仮想化環境の開発を行った。分散センサを実際に活用した環境である自律移動ロボットシステムにおいて、高度なセンシングをリアルタイムに行うシステムの開発は高い負担となるが、これを軽減するための仮想化環境を提案し、プロトタイプを実装した。
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