研究概要 |
本研究は,多数のセンサ,情報通信デバイスを外部環境(利用者の移動,気温変化,時間など)および利用者の好みに従い自動制御するスマートスペースおよびアプリケーションを対象に,(1)システム全体を高信頼かつ低コストで開発できるようにするためのシミュレータの開発,(2)シミュレータを用いて大規模なスマートスペースを構築し,本シミュレータの有用性を評価することを目的としている.これらの目的を実現するため,3D空間上へのデバイスの設置支援・空間におけるデバイスの動作の可視化を行う機能(可視化・GUI),デバイス間の通信を物理的なレベル(遮蔽物,無線通信範囲なども考慮)でシミュレートする機能(ネットワークシミュレータ),エアコンなどのデバイスの動作が外部環境に与える変化(室内温度などの物理量の変化など)を再現する機能(物理量シミュレータ),与えた環境設定およびアプリケーションソフトウェアが意図通りに動作することを系統的に調べる機能(テスト機能)を実現することが研究の目標である. 最終年度である平成21年度は,実空間に構築したテストベッドをシミュレータが管理する仮想空間の一部として連動させてシミュレーションできるようにする機能,すなわち,仮想空間上でのコンテキスト変化に基づき,実空間のデバイスを動作させたり,実空間のユーザの動きに従って,仮想空間中のデバイスが動作する機能を実現し,テストベッドを構築して動作を確認した.その成果は,国際会議Pervasive2009のデモセッションにて実演した.また,本研究で得た成果を応用し,携帯端末画面に実空間に対応する3D仮想空間を表示し,直観的な操作により実デバイスを遠隔操作するリモコンフレームワークを考案し,プロトタイプを作成した.研究成果は,DPSワークショップ2010のデモセッションで実演するとともに(ベストデモ賞を受賞),論文をACMの国際会議Multimedia Systems Conference 2010で発表した.これまで開発してきたシミュレータツール一式を,近日中に一般公開するための作業を引き続き進めている.
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