研究概要 |
100ノードから成るスケールフリーのネットワークにおいて、ヘビーな通信流量をもつわずか上位10%のノードを酵素反応フィードバック制御機構を組み入れた適応型ルーティングに変更することで、 DoSアタック障害によるパケット転送のふくそうを回避することができた。つぎにランダムに発生し転送される1000パケットを、 SPFで制御されるものと適応型ルーティングで制御されるものとに分け、何%のパケットを適応型で制御すれば、ネットワーク全体の負荷分散が可能となるか調べた。その結果、20%から30%のパケットを適応型でルーティング制御すれば、すべてのパケットのレイテンシーがほぼ均一化された。つぎに、酵素反応フィードバックの制御様式として拮抗阻害タイプとnon essential activationタイプの2つを想定し、 SPFおよびECMPと発生パケットの転送のレイテンシー比較した結果、2つの酵素反応フィードバック制御機構を模したルーティングアルゴリズムはすべて小さな値を示し、特に, non essential activationを用いた提案ルーティングアルゴリズムは最大の評価を示した。最後に、送信経路の選択の指標となる評価関数に含まれる重み係数αがデータパケットの送信時間推移におよぼす影響を考察した。送信するデータはパケットに分割され、各パケットは独立して目的ノードまで送信される。したがって、目的ノードにおいて、パケット番号が昇順とならない場合は、到着していないパケットが到着するまで待ち時間を要する。このことは、さらなる輻輳を招く.αは距離指標に乗じられる係数のため,αが小さい場合はパケットが滞留する可能性がある。そこで、送信時間のしきい値を設定し、その値をこえるパケットについては、αの値を増加させるようなα値可変のアルゴリズムを追加した。その結果、待ち時間のヒストグラムにおいて、α値固定よりも小さい待ち時間の分布を示した。
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