研究概要 |
計算機処理や通信の対象として,実世界の3次元空間情報や画像・映像情報などが,容易に利用できるようになってきた.これら実世界の形状・空間情報や画像・映像情報は,多次元データであり,そのデータ量も多いことが大きな特徴となっている.このような大規模データは,人間が手作業で処理することは事実上不可能であり,計算機による適切な処理法が求められている.本研究課題では,実世界データに対する「自然な補完」の実現をターゲットとして,実世界データの効率的な解析手法ならびに合成手法の開発を目的としている. 本研究課題は,「空間情報の領域分割とテクスチャ合成」,「空間情報のパターン照合」,「時間情報における連続性抽出(運動解析)と補間」の3つをサブテーマとしている.2007年度は特に第2のサブテーマである「空間情報のパターン照合」に重点を置いて研究を進めた.すなわち,空間情報内でのパターン照合を高速に実行する手法を考察する.より具体的には,画像中のパターン照合(実際には顔検出)をプログラム可能なGPU上で高速に処理する手法を開発した.これはニューラルネットワークを用いた顔検出器をGPU上で実現したものである.画像処理ニューラルネットワークは畳込み演算と同様の処理を反復するため,通常のCPU上での実行に比べて約15倍の高速処理が可能となった.このほか,実時間データ処理に対するGPU利用の可能性について,様々な角度から検証を進めている.
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