研究概要 |
ウェブをマイニングすることにより、社会的事件や社会的変革を知ることができるというこれまでの研究の知見に立ち、平成20年度は、システム開発を外部委託し、研究代表者と分担者が多数回にわたり一同に会して打ち合わせをし、「統合型ウェブマイニング環境」の主たる機能であるSERP Watcherを重点的に開発した。SERP (Search Engine Results Page)とはGoogleなどの検索エンジンがユーザにより入力された検索キーワードに対してウェブページ群を順位付けで返す検索結果のことをいう。SERP Watcherは,複数の検索エンジンのSERP順位の変動を観察(watch)することにより,ウェブを通して社会の動きを捕捉する機能を実現しようとする。言い換えれば、SERP Watcherは従来社会科学で一般的に用いられてきたインタビューやアンケートといった社会調査法に代わる新しい社会科学の研究方法論であるということができる。SERP Watcherに社会科学分野の研究者がログインし、自分が注目する検索キーワードを登録すると、デフォールトとして1週間に1度の頻度で、Google, Yahoo!Japan, Live Search (旧msn), Baidu, goo, excite, Infoseek楽天の6つの検索エンジンのSERPの上位500に入るウェブページ、そのバックリンクなどがアーカイブされる。さらに、本年度はSERP WatcherのSERPデータ多次元分析機能も実現したので、ユーザの多様なSERPデータの分析要求に応じることができる。アーカイブデータは古いものでは2007年7月から収集されており、特にジェンダー学際分野のキーワードが30数個登録されているので、その分野での社会変革の発見につながる可能性が期待できる。
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