研究概要 |
近年,個人のハードディスクやweb上に,大量の映像が映像アーカイブとして蓄積されている.こうした背景から,所望の映像を効率的に検索するための手法を開発する研究が盛んに行われている.一般に,映像検索の手法は,モデルベース,概念ベース,類似度ベースの手法がある.このうち,類似度ベースの手法は,サンプルとなる映像が与えられれば,任意の検索ができるため有望であると言われている.逆に,不適切な映像が多数検索されてしまうという問題がある.これらの問題を解決するために,本研究課題では,「内容」に踏み込んだビデオオントロジーについて検討し,概念ごとに定義されたオントロジーを用いて,動画像検索に適用することを第一の目的としている.また,ビデオマイニングの成果として得られるパターンを,ビデオオントロジーとして定義付けることを第二の目的としている.さらに,「意味概念空間での確率的時間プロセス」という考え方を導入して,ピデオオントロジーを用いて概念間の関係をイベントとして定義する手法の開発を第三の目的としている.特に本年度は,Large Scale Concept Ontology for Multimedia (LSCOM)で既に定義されている374個の概念をオントロジーとして組織化した.さらに,映像検索の精度向上のため,ビデオオントロジーを用いて,ユーザの検索要求を精緻化して不要な映像は排除し,曖昧な要求は詳細化する手法を開発した.以上の知見に従って,上記の枠組みを統合し,動画検索エンジンを開発した.開発したシステムでの実験の結果,10個のトピックのうち8個で検索精度が向上したことから,本手法が有効であることが分かった.
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