本研究は、複数の人間が係わるプロジェクトで生成・収集される各種情報を共有し活用するための情報共有システムの構築法を考案することを目的としている。通常の情報検索は、これらの情報を文書集合と考え、その中から目的にあった部分文書集合を効果的に検索することが主たる目的とする。しかし、プロジェクトの過程で得られる情報は問題解決の過程を反映したものであり、それらを時系列情報としてとらえることによってプロジェクトメンバに問題解決の過程をremindさせたり、同種のプロジェクトに携わる人間に問題解決へのヒントを与えるシステムの構築が期待できる。そこで、本研究では、特に時間情報を考慮した時系列文書の処理技術に焦点をあてて、情報共有システムを構築することをめざしている。 本研究では、以下の2つの課題を中心に研究を進めている。 (1)時系列文書モデルの提案とモデルの獲得支援法 まず、時間とともに文書に記述されているトピックがどのように変化しているかを把握するための時系列文書モデルを構築し、次にそのようなモデルをデータから学習するための効率の良いアルゴリズムを開発することが中心的な課題となる。 (2)情報共有システムの試作と評価 上記のモデルを用いて、情報共有システムを構築し、手法の評価を行う。本システムでは、従来の情報検索機能に加え、潜在トピックに基づいた時系列文書モデルも用いてトピック変遷マップを提示する機能を実装する。そして、このような多様な情報閲覧・提示機能が情報共有システムに及ぼす効果について分析する。
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