研究課題
本研究では、過去に流行したインフルエンザウイルスの遺伝子データを大規模に解析し、パターンを発見することにより将来の抗原変異を予測する手法を開発することを目的とする。平成18年度は、下記項目に関して研究を行った。1. インフルエンザウイルスの抗原変異を予測するための基盤アーキテクチャの設計香港かぜの流行におけるヘマグルチニシ(HA)のアミノ酸配列の時間的変遷を解析するために、大量のアミノ酸配列を三次元空間上に配置して視覚化する手法を開発した。2. モアミノ酸置換パターンのクラスと背景知識の選択過去40年間に流行した香港かぜウイルスのHA配列2450本を上記1の手法で解析した結果、HA上のアミノ酸相異数は数学的に単純な曲線を用いて回帰できるという可能性が示唆された。3. アミノ酸置換履歴からパターンを発見する手法の開発HA上のアミノ酸配列の相異数を分離年の差の関数として回帰することにより、生き残るウイルスに現れるアミノ酸置換のパターンを発見する手法を考案した。4. 抗原変異におけるアミノ酸置換パターンの発見香港かぜウイルスのHA配列は、数学的に単純な曲線に沿って変異してきたことを明らかにし、この曲線と最新の分離株の遺伝子情報を利用して翌年のアミノ酸置換を予測する手法を開発した。5. 抗原変異の予測と予測精度の検証上記4の手法による予測実験を行い、予測の結果と実際に起こった置換とを比較した。その結果、同手法は翌年のアミノ酸置換を高い再現率で予測することが判明した。
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PLoS Pathogen 5
ページ: e1000350
Virology 376(2)
ページ: 323-329