研究概要 |
本研究では,学習データからプログラムを自動生成することができる次世代の進化計算法(進化型プログラム自動生成法)を開発し,それを自律移動ロボットの行動決定(ルートの自動決定・アクションの自動選択など),並びに自律移動ロボットを用いたセキュリティシステムの無人化・自動化に適用する研究を行なった.進化型プログラム自動生成法では,研究代表者らが開発済みの進化計算法GRAPE (GRAph structured Program Evolution)を発展させ,任意のデータ構造に対する処理を行うノードをネットワーク状に組み合わせた強力な進化計算法として完成させた.開発した方式を,画像センサ・距離センサなどのセンサを搭載した車輪型の自律移動ロボットの行動決定プログラムの自動生成に適用することでその有効性を検証した.実験には,自律移動ロボットとして2台の小型移動ロボット(Pioneer 3DX)と,9台の小型移動ロボット(Evolution Robotics ER-1)をそれぞれ用いた.処理内容としては,高度な障害物回避行動,環境に合わせた巡回行動,アクティブセンシングによる人物の認識,ノベルティ(通常とは異なる状況)の自動検出などを扱った.その結果,開発した方式の有効性を確認することができた.従来は,自律移動ロボットのプログラムは人手によって与えるしかなかったが,本研究により,様々な状況・目的に対して柔軟に行動することができるプログラムをロボット自身が機械学習を通して構築することができることを示すことができた.本研究の成果は社会・産業で複雑なプログラムを必要とするあらゆる場面に適用することができ,その波及効果と意義は極めて大きいと考えられる.
|