研究概要 |
子育てネットシステムについては,子どもの発達状況を保育者が記録するシステムを開発した.規模は約4万行である.子ども一人ひとりの発達程度に合わせて発達記録項目(8つの学齢に分かれた約400項目)を自由に切り替えられる.そして,本システムを,実際に大阪府内の2つの保育園(総幼児数約200名)での実用に供し,約1年間にわたる社会実験を行った.その結果,一般の健常児にも有効であるが,「気になる子」については,とりわけ提案システムが有効であることを確認できた.また,得られた発達データに主成分分析を適用し,保育者の保育方針を(保育者が自分で意識しているか否かは無関係に)検出可能な手法を提案して,その有効性についても,保育園にてヒアリングを行い確認した. ユビキタスセンサ統合については,ステレオカメラで子どもの位置を確認し(誰であるかは不明),子どもには,加速度・地磁気センサを装着してもらい,この2つの情報を統合して,子どもが誰であるかを判別しつつ,室内での子どもの位置・方向を抽出する手法を提案して,プロトタイプによる評価実験で,実用上十分な精度が得られることを核にした.今後は,実際の幼児教育現場での評価が必要と思われる. 更に,子どもに歩数計を装着してもらい,そのデータから子どもの交友関係を抽出する手法については,交友関係の深さと広さを取り出す手法を提案し,実際に大阪府内の幼稚園で,合計28日間に渡るデータ取得と分析を行った.その結果,子どもの交友関係のみではなく,女児と男児との交友関係の差も抽出できることを確認できた.
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