研究概要 |
物体名を告げただけで確実にその物体を認識できる計算機による物体認識の実現は困難である。そこで、本課題では頼んだものを取ってきてくれるような介護ロボットへの利用を想定して、依頼した物体が認識できないときには対話を通じて物体を認識できるようにする方法を研究する。 ただし、常に対話をしなければならないシステムではユーザに受け入れられない。そこで、今年度は、まず対話を援用するシステムの基になるものとして、物体のクラス名、あるいは特定の以前に見たことのある物体を指示された場合に、それをある程度認識できる認識法を検討した。クラス名による指定か特定の物体の指定かという認識の指示の種類、および物体の性質に応じて、複数の認識法の中から適切なものを選択して実行する方法を考案して、実験により有効性を確認した。 自動的な物体認識に失敗した場合は,物体名を指示されて認識できなかったのだから,物体名以外のその物体の認識の補助になる情報を人間に求めることになる。どのような情報を用いるとよいかを調べるため,人間同士の場合,物体名で物体を指示できない場合に,どのような表現を使って相手に物体を指示するか調べた。その結果,色について表現することが多いことがわかった。しかも,多くの色が使われている物体でも地の色や最大面積の色の一つの色で表現することがわかった。そこで,人間が一つの色で物体を表現した場合でも,先に述べたような意味で使われていると解釈して物体を検出する方法を開発した。色の他には,物体同士の位置関係も物体の指示によく用いられることがわかった。今後は,この空間関係の利用法について検討を進めていく予定である。
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