研究概要 |
今年度の成果は大きく3つに分けられる。光線情報の取得方式,符号化方式,自由視点画像合成方式である。取得方式としては,可変焦点レンズをアレイ化したシステムの基礎検討を行い,その新たな可能性を理論的に検討した。これは,これまでの固定的なレンズアレイに対して,シーンの状況に応じた適応的な多眼かつ高密度な撮影を可能にするものである。まだ世界に例を見ない試みであり,基礎的な実装の段階にある。符号化方式に関しては,間引き伝送に関わる理論的なモデルによる検討と,Distributed Codingによる実践的な伝送について検討した。前者は,与えられた帯域の中で,品質を少し落としてでも多眼画像をすべて伝送すべきか,品質を保って限定した一部の画像のみを伝送し,復号側で補間合成するべきかを,理論的なモデル作りを通じて議論する基盤を与えるものである。後者は,カメラ間の通信を行うことなく,効率的に多眼画像の伝送を行う方式として注目されている。自由視点画像合成方式に関しては,ネットワークカメラ64台分の映像入力を,ギガビットイーサで伝送し,1台のパソコンでGraphics Processing Unit(GPU)を使って処理することで,実時間でインタラクティブな自由視点映像を合成するシステムを実現した。提案システムは,実時間性および可搬性を兼ね備えたライブ映像の自由視点映像合成システムであり,世界的に見ても画期的な成果である。
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