研究課題/領域番号 |
19300058
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
熊澤 逸夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70186469)
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研究分担者 |
長橋 宏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20143084)
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キーワード | 蛍光顕微鏡 / 3次元画像再構成 / ステレオ画像 / デコンボリューション / 視差 / 3次元形状復元 |
研究概要 |
平成20年度には、蛍光顕微鏡エミュレータ構築に光線場理論を導入し、蛍光顕微鏡の特徴である「(1)レンズ口径の被写体に対する相対サイズの大きさ」と、「(2)微弱な蛍光の検出」の2点に対応できる観測系を完成することができた。本課題では実際の光学系のスケールを50倍に拡大したエミュレータを作ることを目的としているが、50倍のサイズのレンズを制作することは現実問題として不可能であるため、通常のレンズサイズのカメラを多数設置して、それらの観測結果から光線場理論に基づき、計算機内の数値処理によって、大口径レンズの光学系をエミュレートするようにした点は従来にない独自の工夫である。また蛍光タンパク質の発光を模擬する被写体モデル(ファントム)を本年度予算で購入した3次元加工機と試作業者の支援によって制作し、多数のサンプル画像を撮影した。なおこの際にファントムの発光方法としては、紫外線を照射しながら励起光を観測するよりも、紫外線をファントムに蓄光しておき、蓄光された光が放出されてくるのを観察した方が容易であることが判明したため、蛍光方式はやめて蓄光方式を採用することになった。また蓄光された光が放出される際のエネルギーが小さいために、長時間露光可能なカメラを購入して実験を行った。本課題で制作したエミュレータはパラメータを変更するだけで、任意の光学系をシミュレートすることが可能であり、各方面に利用できることが期待できるため、制作を支援頂いた試作メーカーと共同で工業所有権を申請することを計画している。また光線場理論に基づき、蛍光顕微鏡の光学系を自在にエミュレートできるようになったため、蛍光顕微鏡の設計において大きな効果を発揮することが期待できる。本課題で得られた画像サンプルは多くの研究者が利用できるように公開する予定である。
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