研究概要 |
最終年度である平成21年度は,以下の項目について研究した. (1) 平面物体認識の省メモリ化・高精度化:省メモリ化の手法としては,Bloomierフィルタと呼ばれる新しいデータ構造に基づく手法を提案した.高精度化については,生成型学習を用いた手法を提案した.後者の手法は電子情報通信学会でPRMU研究奨励賞を受賞した. (2) 立体物認識:Bloomierフィルタを用いた手法,ならびに局所特徴量の部分空間を用いた手法を提案した. (3) 著作権保護分野への応用:マンガを対象とした大規模データベースを用いて,不正コピーを検出する手法を提案した.本手法の特徴は,MSERと呼ばれる領域検出器,ならびにHOGと呼ばれる領域記述子を組み合わせて用い,近似最近傍探索によりデータベースの特徴量と照合することにより,不正コピーを高速検出する点にある. (4) 文書画像検索の高度化とカメラベンシステムへの応用:我々が既に提案しているLLAH (Locally Likely Arrangement Hashing)の高精度化を行った.具体的には,新しい特徴量の導入,ならびにデータベースと検索質問拡張技術の導入である.また,この技術と,別途開発した紙指紋によるトラッキング技術を組み合わせることにより,新しいカメラペンシステムを構築した. (5) 文字認識への応用:ハッシュに基づく高速物体認識の手法を文字認識の分野に応用し,レイアウトフリーで実時間認識可能というこれまでにない手法を確立した.この手法は日刊工業新聞に取り上げあられた. (6) 局所特徴に基づく認識の理論的基盤の構築:従来のGeometric HashingとLLAHを手法と比較し,理論的基盤を明らかにした.また,ハッシュに基づく物体認識の理論的基盤を構築すると共に,それを「近さの多段階表現」,「隣接バケット探索」という2つの概念により拡張した.
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