研究課題
発声発話系の機械実体モデルを元に声質の生成メカニズムを解明することを目的として、今年度は多様な声質をもった音声の発話制御を中心として研究を進めた。検討項目は、3次元発声・発話実体モデルの機構改良、声質制御のための声帯モデルの制御方法、及び人間の調音運動を模擬する見真似発話ロボット制御である。(1) 発話ロボット機構改良:3次元舌、唇機構、及び声帯と声道をつなぐ喉頭管の機構に関して機構性改良を行った。具体的には、人間の舌の多様な変形と速い動作をより精密に模擬できる舌機構の改良、口唇部の開閉および突き出しを精密に模擬できる唇機構、および強いせばめを有する声道に対して声帯振動を安定化させるための喉頭管の形状の設計・制作である。これらの改良を経て、より品質の良い音声の生成が可能となった。(2) 声質制御のための声帯モデルの制御方法:フライ音声を対象として声帯制御法の検討を進めた。極端に低いピッチで声帯が振動するフライ音声を実現するため、声帯張力、肺圧、及び声帯振動を安定化させる横押し機構の制御方法を検討し、フライ音声の声帯振動が声帯振動モードがモーダル発声からの急激な変化によって生じること、極めて狭い声帯制御パラメータの領域において生じることを定量的に明らかにした。(3) 見真似発話ロボット制御:より自然な音声を生成するため人間の調音運動を磁気計測システムを用いて観測し、観測調音運動データから発話ロボットの制御パラメータを決定する発話の見真似制御方法について検討した。発話ロボットにおける逆キネマティックスに基づいて、舌形状の目標値からロボットパラメータを決定する方法を考案し、人の発話動作を模擬して発話ロボットを制御する方法を確立した。その結果、従来の制御法に比べて自然性の高い音声を生成することが可能となった。
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Advanced Robotics
巻: (未定)
音声研究
巻: 14 ページ: 57-64