研究課題
基盤研究(B)
われわれは、物を見たり、聞いたりするときに、それが何であるかを知覚するだけでなく、それらが自分にとって身近なものか、自然な物かを知らないうちに判断している。このとき感じる自然さというものは、コミュニケーションにとって重要な要素である。われわれは、これまで、脳波成分P3に着目して、ヒトの感じる不自然さがP3非対称性に表れることを示した(Minami et al., 2009)。さらに、顔に敏感なN170コンポーネントに着目し、顔色の不自然さによる脳波の変化を調べることにより、顔色の不自然さ(青色顔画像)がN170振幅を増大させることを示した。この結果は、顔の色も顔の初期検出の際に使用していることを示唆している(後藤ら,2009)。さらに、異種感覚統合における不自然さを調べるために、聴覚-視覚Cross-modal primimingにおいて、聴覚-視覚刺激の意味的一致および、視覚刺激の不自然さを調節したときの神経活動の様子を、脳波により記録した。その結果、事象関連電位(ERP)では、270-310ms間の振幅に不自然さおよび聴覚と視覚の結合の影響が見られた。またガンマ帯振動では聴覚-視覚刺激が意味的一致しており、かつ不自然色の視覚刺激が呈示されたときに自然色刺激を呈示したときよりも大きな振動活性が見られた。この結果は、聴覚と視覚の異なる感覚入力において不自然な視覚刺激が、両者の間により強い繋がりを持たせようとする高次認知処理の影響を反映していることを示している(Yokota et al., 2009)。
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日本感性工学会論文集 Vol.8,No.3
ページ: 527-534
NeuroReport Vol.20,No.16
ページ: 1471-1476
日本感性工学会論文集 (in press)