研究概要 |
本研究では市場への流動性供給について人工市場システムを用いて研究を進めている.平成21年度には,これまで開発を進めてきたシステムの問題点を改善して新たにU-Martシステムversion 3.0を構築した.このシステムは市場制度のモデル化の柔軟性を高めたもので東京証券取引所の新システムなども模擬可能とするとともに,手動取引での取引者支援なども行えるようになった.同システムについてはフランクフルト金融経営大学において30人規模の取引実験を実施し,その性能を確認した.また,これと並行して流動性供給のための市場制度の比較分析のためにザラ場市場とマーケットメイカー市場のシミュレータを開発し,ランダムな取引戦略をもつトレーダからなる市場で,収支の中立性を保ちつつ,約定率をザラ場市場よりも向上させることができるマーケットメイカーエージェントの構成が可能であることを示した.さらに人を用いたゲーミングについては板寄せ市場における実験とザラ場市場における実験を同一の協力者グループに対して継続的に実施し,固定された実験協力者間の取引では特定の取引者が高い成績を示すことが見出された.
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