研究概要 |
1.ガボールフィルタを用いた立体視アルゴリズムとシステム開発:ガボール特徴量を用いた相関法で大まかな視差の推定を行った後,通常の輝度を用いた相関法で視差計算を細かく行うことにより,高精度かつ高速な視差計算を可能にした.また,入力画像を大まかに分割する大局的領域分割処理として,昨年度に引き続き領域ベースMRFモデルを研究し,AD融合方式によるLSI化に向けてアルゴリズムを簡略化した. 2.身体内部モデルに基づく身振り認識アルゴリズムの開発:昨年度開発した認識システムの微小な不具合を修正し,改良・高速化した.腕姿勢や環境パラメータを種々変化させた場合の認識成功率を調べた.その結果,研究室内環境では壁に接近した状態で,かつ背景の線分と混同し易い姿勢では誤認識率が上昇した.しかし,そのような極端な状況でない場合は誤認識率は上昇せず,簡単な身振り認識が可能であることが確かめられた. 3.バイオロジカルモーション知覚の心理実験:相対運動を構成する要素刺激間の知覚的結合がどのように形成されるかを調べた結果,刺激問の近接度と,妨害要素の存在が結合の強度に影響することがわかった.妨害要素は,静的刺激よりもフリッカーや動き刺激の方が影響が大きく,空間的に近接した動き情報を統合するメカニズムの存在が示唆された.このような結果から,局所運動情報を,ある程度の空間範囲で統合して求めた運動重心を物体全体の運動速度・方向とするモデルを作成した.また,重心速度に対する局所運動の速度・方向を計算し,物体パーツの本体に対する相対運動とした.相対運動の振幅や周期などの性質から,本体が移動している状況での人間の動作認識や歩行者認識が行えると考えられる.
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