研究概要 |
インターネットの急速な発展とともに,貴重資料や歴史資料を電子化して提供するもの,学術研究用の資料を集めたディジタルアーカイブの開発が盛んに進められている。一方,電子的な文書資料の長期保存の困難さと重要性が認識され,さまざまな取り組みがなされてきている。本研究では,個別の資料とアーカイブ全体,電子文書技術や資料情報管理,社会制度や利用者といった問題について検討し,ディジタル情報資源の保存とディジタルアーカイブの長期利用のための要求要件を,保存のための情報システム技術と情報管理技術,ならびに社会制度面といった異なる視点から総合的にまとめることを目的として研究を進めた。 本年度は,前年度に引き続き,組織におけるWebアーカイブの構成方法に関する研究,Web文書の一貫性管理に関する研究,長期保存のためのガイドライン作成のためのアーカイブ向けのメタデータスキーマのモデルやメタデータボキャブラリ等に関する包括的な研究等を進めた。また,マンガ等のビジュアルな構造を持つ資料の構造表現のためのメタデータに関する基礎的な研究を行い,ディジタル形式で表現されるマンガ等の構造をベースにした統合的なメタデータのモデルの研究を進めた。一方,国立国会図書館が進めるディジタル情報資源ラウンドテーブル等とも協力して,ディジタルアーカイブの長期利用と電子文書の長期保存に関する意見交換や調査を進めた。平成22年2月には,国立国会図書館と共同でディジタルコンテンツの超保存とディジタルアーカイブの長期利用に関する国際シンポジウムを開催し、ディジタルアーカイブの長期利用に関する議論の場を作った。また、ディジタルアーカイブの長期利用に関する将来の研究方向を考察し、より発展的な研究計画をまとめた。
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