研究概要 |
本研究は日本におけるknowledge-based innovation systemの浸透や日本独自の文化的要因を考慮に入れて,日本の産学連携の実態を説明できる拡張Triple Helixモデルを構築することを目的としている。平成20年度においては,主として以下のような調査・分析を行った。(1)日本の「引用文献索引データベース」(CJP)を用いて,モデルの拡張を検討する上で鍵となる国内学術雑誌への海外からの投稿の動向や海外著者の特性を分析し,投稿論文数の増減に影響を与える要因を探った。これにより,必要性が指摘されてきた国内学術雑誌の「国際化」についてデータに基づく実証的な結果を得ることができた。(2)米国ISI引用索引統計データベース(NCR-J)を用いた産・官・学・国際の4セクタの関連性分析に当たって,情報量理論およびグラフィカルモデリング理論の有効性を検証した。当該理論を用いることで,日本の産官学連携ネットワークの変容,日本の産官学連携において「国際」セクタが近年中心的な位置を占めるようになっていることが示された。(3)本分析に欠かせないデータの所属機関の名寄せ作業について,新たな編集距離アルゴリズムを利用するための条件や問題点,成功率等についての検討を進めている。(4)書誌データ分析と平行して,Webデータの分析のため2種類の調査とクローリングの試行を行った。また,これらの調査の方向性を定めるための予備的調査として2つの機関に包括的なヒアリングを実施した。(1)主要18大学における産学連携体制(産学連携を推進する組織,体制,規則,内容,件数など)の現状把握調査。(2)主要7大学のWebサイトの特徴・構造について調査を行い,公開されている産学連携に関する情報を効率的にクローリングする方法の開発に着手した。これらの研究成果は、国際学会・国内学会・学術雑誌に発表した。
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